生成AIの社内研修を検討すると、まず「助成金は使えるのか」が論点になる。候補は厚生労働省の人材開発支援助成金だが、研修後に申請すれば受け取れる仕組みではない。訓練開始の1か月前までに計画を届け出て、計画どおりに実施し、記録と証憑をそろえて申請して、はじめて審査の対象になる。
しかも2026年度は、生成AI研修に関わる部分で制度の動きが大きい。
- 生成AI研修の主な受け皿になる「事業展開等リスキリング支援コース」は、令和8年度末までの時限措置と公式パンフレットに明記されている
- 2026年8月3日以降に提出する計画届から、DX化に関する訓練でも「職業人として共通して必要なもの」「職務に間接的に必要なもの」は対象外になった。厚生労働省のリーフレットは、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練を対象外の例に挙げている
- 同じ改正で、同コースのeラーニングによる訓練は、1人1年度1回までに制限された
- 計画届の受理は支給の約束ではない。審査は支給申請の後にまとめて行われ、厚生労働省は「この訓練なら必ず対象」と認めた訓練は無いとQ&Aで答えている
本記事は、厚生労働省の公式ページ、令和8年度版パンフレット(2026年8月3日版)、改正リーフレット、事業主向けQ&Aを一次資料として、申請の流れとつまずきやすい点を整理する(2026年9月29日確認)。支給の可否は管轄の労働局が個別に審査して決めるものであり、本記事は対象になることを保証しない。
この記事の対象読者
- 生成AI研修の予算を組むにあたり、助成金を使えるかを確認したい人事・人材開発の担当者
- 研修会社から「助成金が使えます」と提案を受け、その中身を確かめたい推進担当者
- 計画届や支給申請の実務を初めて担当する総務・経理の担当者
- 研修の費用対効果を、助成金の有無も含めて判断したい経営層
AI研修の助成金とは(要点3行)
- 生成AI研修で主に候補になるのは、人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースと人材育成支援コースで、訓練経費の一部と訓練中の賃金の一部が助成される
- 受け取るには、訓練開始日の6か月前から1か月前までに計画届を出し、計画どおりに実施し、訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請する
- 結果を分けるのは、研修の内容が受講者の職務に直結しているかと、時間数・出欠・経費の記録が計画と一致しているかである
生成AI研修で候補になる2つのコース
人材開発支援助成金には7つのコースがある。雇用保険の被保険者にOFF-JT(通常の業務と区別して行う訓練)で生成AI研修を行う場合、検討の中心は次の2つである。
| 項目 | 事業展開等リスキリング支援コース | 人材育成支援コース(人材育成訓練) |
|---|---|---|
| 対象となる訓練 | 事業展開、DX化・GX化などに伴い新たに必要となる専門的な知識・技能の訓練 | 職務に関連した専門的な知識・技能の訓練 |
| 形式と時間 | OFF-JT、実訓練時間数10時間以上 | OFF-JT、実訓練時間数10時間以上 |
| 経費助成率 | 75%(大企業60%) | 正規雇用労働者等45%(大企業30%)、有期契約労働者等70%。賃金要件等を満たすと各15ポイント加算 |
| 賃金助成(1人1時間) | 1,000円(大企業500円) | 800円(大企業400円)。賃金要件等を満たすと1,000円(500円) |
| 経費助成の上限(1人1訓練・10時間以上100時間未満) | 30万円(大企業20万円) | 15万円(大企業10万円) |
| eラーニング・通信制 | 経費助成のみ。上限は15万円(大企業10万円) | 経費助成のみ |
| 1事業所の年度上限 | 1億円 | 1,000万円 |
| 実施期間 | 令和8年度末までの時限措置 | パンフレットに期限の記載なし |
※ 厚生労働省の令和8年度版パンフレット(2026年8月3日版)による。2026年9月29日確認。中小企業に当たるかは支給申請時点で判定される
経費助成の上限は訓練時間が100時間以上になると段階的に上がるが、数日で終わる研修の多くは10時間以上100時間未満の区分になる。「賃金要件等」は、訓練修了後に受講者の賃金を5%以上、または資格等手当により3%以上引き上げた場合の加算である。同じ訓練・経費を対象に他の助成金や補助金も申請すると、一方しか支給されない場合がある(併給調整)。
事業展開等リスキリング支援コースでは、どの事業展開やDX化のための訓練かを書く「事業展開等実施計画」(様式第1-3号)も出す。2024年10月版のQ&Aは、計画届の時点でDX等の具体的な取組の内容が決まっていることを原則としている。どの業務にどう生成AIを組み込むかが決まっていないと、このコースの計画は書けないということである。
このほか人への投資促進コースにも、ITSS・DSS-Pのレベル3・4等を対象とする高度デジタル人材訓練や、サブスクリプション型の研修を対象とする定額制訓練がある(令和4〜8年度の期間限定)。
リスキリング支援コースは今年度末まで
事業展開等リスキリング支援コースは、令和4年度から8年度の期間限定の助成金として創設され、パンフレットの助成額表にも「令和8年度末までの時限措置」と注記されている。確認時点の厚生労働省のページには、令和9年度以降の扱いについての記載は見当たらない。
パンフレットは、予算の範囲内での支給であることと、年度の途中で制度が変わりうることも明記している。年度末をまたぐ計画は、計画届を出す前に労働局へ扱いを確認するのが安全である。
2026年8月改正で変わった2点
汎用プロンプト研修は対象外の例に
2026年8月3日以降に提出する計画届では、事業展開等リスキリング支援コースのDX化・GX化に関する訓練のうち、次の目的のものが対象外になった。
- 職業、または職務に間接的に必要となる知識・技能を習得させる内容のもの
- 職業、または職務の種類を問わず、職業人として共通して必要となるもの
改正前は、DX化・GX化に関する訓練に限ってこれらも対象になり得る扱いだった。厚生労働省の改正リーフレットは、生成AIを含む具体例を挙げている。
| 訓練の例 | 判断 | リーフレットが示す理由 |
|---|---|---|
| 生成AIを活用して、商品提案書の構成案作成・文章生成・修正方法を学ぶ営業担当者向けの訓練 | 助成対象 | 営業担当者の具体的な業務に直結し、そのまま活用できる内容 |
| 生成AIを利用するために、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練 | 助成対象外 | 特定の業務への具体的な適用を伴わない汎用的な内容 |
| DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ訓練 | 助成対象外 | 共通知識の習得にとどまり、業務に直接適用される内容ではない |
| 自社のエネルギー使用量データの収集方法、CO2排出量の算定手順を学ぶ訓練 | 算定業務の担当者なら対象、人事や営業なら対象外 | 受講者の業務プロセスに直接組み込まれるかで変わる |
最後の例が示すとおり、同じ内容の訓練でも、誰に受けさせるかで判断が変わる。リーフレットは確認の観点として、特定の職業・職務に必要な知識・技能か、マナー・リテラシー・概念理解にとどまっていないか、訓練内容に沿って受講者を選んでいるか、の3つを挙げている。
例示から読み取ると、「全社員向けの生成AI入門」は対象外の側に寄りやすく、受講者の職務と成果物が特定されている研修ほど対象の側に寄る。ただし最終的な判断は労働局の審査による。
なお、2026年8月2日以前に訓練の契約や申込を済ませている場合などには経過措置がある。該当するかは、パンフレットの経過措置の記載と労働局で確認したい。
eラーニングは1人1年度1回まで
同コースで助成を受けられる受講は1人1年度3回までで、2026年8月3日以降の計画届に基づくeラーニング(通学制などとの組み合わせを含む)はそのうち1回までになった。年度は支給申請日を基準に数える。
また2026年4月8日の改正で、同コースのeラーニング・通信制の経費助成の上限は、時間にかかわらず1人1訓練15万円(大企業10万円)に引き下げられた。eラーニングは賃金助成の対象外で、LMS(受講管理システム)で修了日や受講時間を確認できることが条件になる。
申請の流れ:計画届から支給申請まで
事前準備:推進者と社内計画
計画届を出す日までに、社内で職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定して労働者に周知しておく必要がある。推進者は教育訓練部門や人事労務の部課長など、研修の企画に権限を持つ人を事業所ごとに選ぶ。
計画届:6か月前から1か月前
職業訓練実施計画届は、訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に、事業所を管轄する労働局へ提出する。主な書類は次のとおりである。
- 職業訓練実施計画届(様式第1-1号)
- 事業展開等実施計画(様式第1-3号。リスキリング支援コースの場合)
- 対象労働者一覧(様式第3-1号)と事前確認書(様式第11号)
- 訓練カリキュラム(実施目的、実施日時、日ごとの内容と場所、実訓練時間数、受講料が分かるもの)
- 事業外訓練なら、教育訓練機関との契約書、または受講案内と申込書の写し
郵送は労働局への到達日が提出日で、消印は有効にならない。電子申請(雇用関係助成金ポータル)にはGビズIDが要り、計画届を電子で出さないと以後の手続きも電子では行えない。
訓練の実施:計画どおりに行う
訓練はカリキュラムに書いた日時と内容で実施する。訓練経費は、支給申請までに事業主が全額を支払っておく。労働局の職員は、事前連絡の有無にかかわらず訓練の実施場所を訪れ、実施状況を確認することがある。
支給申請:終了翌日から2か月以内
支給申請は、訓練終了日の翌日から2か月以内に行う。支給申請書(様式第4-2号)、助成額の内訳、OFF-JT実施状況報告書、雇用契約書、出勤簿・賃金台帳、経費の振込通知書、教育訓練機関の支給申請承諾書(様式第12号)などを出す。
令和7年度以降、審査は支給申請の後にまとめて行われる。パンフレットは、計画届を提出したことをもって助成金が確実に支給されるものではないと書き、支給決定までに時間がかかることも明記している。
つまずきやすい5つの点
以下はいずれも、パンフレットの注意書きやQ&Aに書かれている内容である。
1. 計画届の期限と変更届
提出期間は日付で決まり、期限が土日祝日なら翌開庁日になる。見落としやすいのは変更届である。実施日時や日ごとの内容を変えるときは、変更前と変更後の実施日のうち早い方の前日までに届け出る。訓練開始日を1か月以上後ろ倒しにする場合は、計画届を出し直す。パンフレットには、変更届を出さずに2日間の研修の日程をずらした結果、計画上の時間が受講0時間とみなされ、受講率0%で不支給になる例が載っている。
2. 訓練時間の数え方
要件の「10時間以上」は、総訓練時間数から対象外の時間を除いた実訓練時間数で判断する。
- 昼食などの食事を伴う休憩、移動時間は含めない
- 1回30分以下の小休止は1日累計60分まで含められる
- 開講式・オリエンテーションなど事務的な説明は、1回の計画届あたり累計60分まで
- 対象外の内容(上の改正で対象外になった部分を含む)は、その時間を除く
- 事前学習の動画や宿題など、予習・復習の時間は含めない
所定労働時間外や休日の時間は賃金助成の対象にならない。12時間の研修でも、対象外の内容や休憩を除くと10時間を下回りうるため、カリキュラムの段階で積み上げて確認したい。
3. 出欠と受講記録
通学制と同時双方向型のオンライン研修では、受講者ごとに実訓練時間数の8割以上を受講していることが要件である。支給申請ではOFF-JT実施状況報告書に加え、出勤簿またはタイムカード、賃金台帳の写しを出す。eラーニングでは、修了日・受講開始と終了の日時・受講時間数・進捗率が分かるLMSの記録と修了証が要る。
関係書類は支給決定後5年間保存する。添付書類は原本の写しに限られ、転記や別途作成した書類は無効になる。
4. 経費の証憑と全額負担
経費助成を受けるには、訓練経費を支給申請までに事業主が全額負担していることが必須である。受講者に一部でも負担させると、賃金助成を含めて不支給になる。
詳細版パンフレットは、教育訓練機関等から返金や協力金など負担を実質的に減らす金銭を受け取った場合や、訓練に関係する広告宣伝業務(受講の感想・インタビューなど)の対価として金銭を受け取った場合、その訓練経費を支給対象経費に該当しないものとして扱うとしている。2026年8月3日付のリーフレットも、宣伝協力のお礼として不相当な金銭を受け取ることや、受講の見返りに製品を無料・割引で提供されることを、不正となる例に挙げている。パンフレットはAI研修について、研修とAIツールの導入をセットにしてツールの費用を研修費として申請することはできないと明記している。また2026年5月14日の支給要領改正で、「受講料等の価格設定に関する疎明書」(様式第28号)の提出が必要になった。助成金を使うかどうかだけで受講料に合理的な理由の無い差がある場合、その差額は支給対象にならない。
5. 研修内容と申請書類の一致
審査では、計画届のカリキュラム、事業展開等実施計画、雇用契約書にある受講者の職務、実際に行われた訓練が照らし合わされる。生成AI研修で特に注意したいのが演習の設計である。2024年10月版のQ&Aは、自社の業務マニュアルを題材に、実際の事業活動で使うツールを訓練時間中に作る場合は「通常の事業活動として遂行されるもの」として対象外となる可能性があるとしている。一方で、訓練用に別途用意した環境でツールの作り方を学び、自社独自のツール開発を目的としないものは対象となり得る。
研修会社を選ぶときに確認すること
研修の選び方そのものは法人向けAI研修の選び方で整理した。ここでは助成金を使う前提で、契約前の確認点に絞る。
| 確認すること | 確認方法 | 注意したいサイン |
|---|---|---|
| 時間割が出せるか | 日ごとの内容・時間・休憩を記したカリキュラムを計画届の前に受け取る | 日時や時間数が「当日調整」で決まらない |
| 職務に直結した内容か | 受講者の職務ごとに、演習の題材と持ち帰る成果物を確認する | 汎用的なプロンプトの型やAIの概論だけで構成されている |
| 実施方法と記録 | 同時双方向か、eラーニングか。出欠・LMS記録・修了証を何で出すか | 質疑応答のない一方的な配信で、記録も出せない |
| 教育訓練機関の要件 | 定款などの事業目的に教育訓練事業があるか。eラーニングは受講者を広く募る公開ページがあるか | 特定の会社向けにしか提供していないeラーニング |
| 承諾書への協力 | 支給申請承諾書(様式第12号)への署名と、労働局の審査への協力を確認する | 承諾書や審査協力の話を避ける |
| 費用の説明 | 受講料が助成金の利用有無で変わらないか。返金や協力金の約束が無いか | 「実質無料」「キャッシュバック」「ツール導入費も研修費で申請できる」 |
| 申請書類の扱い | 申請書類の作成・提出を外部に頼むなら社会保険労務士に依頼する | 研修会社が申請書類の作成を無料で請け負うと謳う |
最後の項目には法律上の理由がある。社会保険労務士法第27条は、社会保険労務士または社会保険労務士法人でない者が、他人の求めに応じ報酬を得て、労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成や提出の代行などを業として行うことを禁じている(他の法律に別段の定めがある場合と、政令で定める業務に付随して行う場合を除く)。パンフレットは、教育訓練機関が無償で申請手続きを行うと謳っていても、受講料の中に対価が含まれていると評価される場合はこの規定の問題が生じると注意している。
代理人に任せた申請で不正があった場合でも、事業主が責任を問われることがある。不正と判断されると助成金は不支給または支給取消しとなり、既に受給している場合は全部または一部の返還(返還額の20%の違約金と年3%の延滞金を加算)が必要になる。不正受給から5年以内の支給申請は支給の対象外になる。
事業主名などの公表には、2026年8月3日以降の支給申請から特例が設けられた。労働局の調査より前に自主申告しなければ、受給前であっても支給申請の段階で原則として公表の対象になる(取消し等の額が100万円未満の場合や、事業主が不正に関与していないことが明らかな場合を除く)。自主申告した場合は、受給前であるか、受給額と違約金・延滞金を速やかに返還すれば、特に重大・悪質な場合を除き、原則として公表されない。
FDXの支援
FDX株式会社は、AX(AI Transformation)の実装パートナーとして、FDX Trainingで職種別・ツール別の生成AI研修を提供している。
- 3段階の育成体系:AIオペレーター研修(AIを使う)、AIビルダー研修(AIを創る)、FDXプロフェッショナル研修(AIで成果にする)
- 職種別・ツール別のコース:営業向け・バックオフィス向けのコースと、Gemini・Copilot・Claude Codeなどのツール別コース。多くは標準12時間の設計
- 実施方法:対面(貴社指定会場)とオンライン(Zoom)から選べる研修と、一部のコースのeラーニング
助成金の対象になるかどうかは、研修の名前ではなく、受講者の職務、事業展開等実施計画、カリキュラムの時間割と内容、経費の負担を労働局が個別に審査して決まる。FDXの研修を含め、どの研修会社の研修でも、計画届を出す前に管轄の労働局へ確認することを勧める。申請書類の作成や提出を外部に依頼する場合は、社会保険労務士に相談してほしい。
研修の組み立てから相談したい場合はお問い合わせからどうぞ。
よくある質問(FAQ)
Q1. 生成AI研修なら助成金の対象になるのか?
A. 生成AIを扱うことだけでは決まらない。受講者の職務に直結した専門的な知識・技能の訓練であること、実訓練時間数が10時間以上であること、計画届の期限を守り計画どおりに実施すること、経費を事業主が全額負担することなどを、労働局が個別に審査して判断する。2026年8月3日以降の計画届では、汎用的なプロンプトの作り方だけを学ぶ訓練は対象外の例として示されている。
Q2. 助成金を使えば研修は実質無料になるのではないか?
A. ならない。人材開発支援助成金は、事業主が全額負担した訓練経費の一部を助成する制度であり、厚生労働省は訓練経費が無料になったり利益が出たりすることは制度上できないと明記している。返金や協力金を受けて実質的な負担を減らすと、支給要件を満たさず、不正受給として事業主名が公表されることもある。
Q3. 研修を始めた後から申請できるか?
A. 原則としてできない。職業訓練実施計画届を、訓練開始日の6か月前から1か月前までに管轄の労働局へ提出しておく必要がある。新たに雇い入れた労働者だけを対象とする訓練や天災などの例外はあるが、通常の社員研修では開始1か月前が期限になる。
Q4. オンライン研修やeラーニングも対象になるか?
A. 実施方法ごとに要件が異なる。質疑応答ができる同時双方向型のオンライン研修は、通学制と同じく実訓練時間数と8割以上の受講で判断する。eラーニングは経費助成のみで、LMSで受講状況を確認できることが条件になり、事業展開等リスキリング支援コースでは1人1年度1回までに制限された。
Q5. 申請書類の作成を研修会社に任せてよいか?
A. 社会保険労務士法第27条により、社会保険労務士・社会保険労務士法人でない者が報酬を得て申請書類の作成や提出の代行を業として行うことは、他の法律に別段の定めがある場合などの例外を除き、原則として禁じられている。研修会社が無償と謳っていても、受講料に対価が含まれていると評価されれば問題になる。外部に頼むなら社会保険労務士に依頼し、内容は事業主自身も確認すべきである。
Q6. 事業展開等リスキリング支援コースは来年度も使えるか?
A. 公式パンフレットでは令和8年度末までの時限措置とされており、2026年9月29日の確認時点で、令和9年度以降の扱いは厚生労働省のページに記載が見当たらない。年度末をまたぐ計画や来年度の研修を検討している場合は、最新の情報を厚生労働省のページと管轄の労働局で確認してほしい。
次に読むべき記事
- 法人向けAI研修の選び方|失敗しない比較基準と定着設計:研修タイプの比較と、定着まで見た選定基準
- DX人材とは?5類型と採用・育成・外部活用の判断基準:育成すべき人材像を先に決める
- NECソリューションイノベータ様 生成AI実践型研修の全貌:業務に直結した実践型研修の実例
- AIアセスメントとは?業務棚卸しと投資対効果の設計:どの業務にAIを組み込むかを決める棚卸し
- AI内製化の進め方|外注依存から脱却する5ステップと判断基準:研修の先にある内製化の設計
まとめ
- 生成AI研修で候補になるのは、人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コース(経費75%・賃金1人1時間1,000円、中小企業)と人材育成支援コースである
- 事業展開等リスキリング支援コースは令和8年度末までの時限措置で、確認時点で令和9年度以降の扱いは示されていない
- 2026年8月3日以降の計画届では、汎用的なプロンプト研修やDXの概論は対象外の例とされた。受講者の職務に直結した内容か、誰に受けさせるかで判断が変わる
- 手続きは、訓練開始日の6か月前から1か月前までの計画届、計画どおりの実施と経費の全額支払い、訓練終了日の翌日から2か月以内の支給申請の順である
- つまずきやすいのは、変更届の期限、実訓練時間数の数え方、8割受講の記録、経費の全額負担、カリキュラムと実施内容の一致である
- 「実質無料」の提案やツール導入費の上乗せには乗らない。有償の申請書類の作成代行は、原則として社会保険労務士の業務である
- 支給の可否は労働局の個別審査で決まる。計画届を出す前に管轄の労働局へ確認する
出典・参考文献
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」(コース一覧、お知らせ、受講料等の価格設定に関する疎明書、改正情報。2026年9月29日確認)
- 厚生労働省「令和8年度版 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」(令和8年8月3日版。時限措置、助成率・限度額、受講回数、対象とならない訓練と時間数、経費の負担、計画届と変更届の期限、提出書類、社会保険労務士法に関する注意。2026年9月29日確認)
- 厚生労働省「令和8年度版 事業展開等リスキリング支援コースのご案内」(令和8年4月8日版の概要リーフレット。手続きの流れ)
- 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正:令和8年8月3日からの変更点について」(対象とならない訓練の変更と生成AIの例、eラーニングの受講回数)
- 厚生労働省「人材開発支援助成金(コース共通)改正:令和8年4月8日からの変更点について」(eラーニング・通信制の経費助成上限の見直し)
- 厚生労働省「令和8年度版 人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内(詳細版)」(令和8年8月3日版。人材育成訓練の助成率・限度額、1事業所の年度上限)
- 厚生労働省「令和8年度版 人材開発支援助成金(人への投資促進コース)のご案内(詳細版)」(令和8年8月3日版。高度デジタル人材訓練、定額制訓練、期間限定助成)
- 厚生労働省「令和6年10月版 人材開発支援助成金事業主様向けQ&A(事業展開等リスキリング支援コース)」(対象と認めた訓練は無いこと、DX化に関する訓練の例、業務で使うツールを作る訓練の扱い)
- 厚生労働省「『訓練経費』は無料になりません」「不正受給した事業主は公表されます」(全額負担の要件、不正受給の事例と公表の特例)
- 厚生労働省「雇用関係助成金 受付窓口一覧」、雇用関係助成金ポータル「電子申請」
- e-Gov法令検索「社会保険労務士法」(第2条、第27条。2025年10月1日施行時点の条文を2026年9月29日に確認)
※ 助成率・限度額・期限などは2026年9月29日時点の厚生労働省の公表資料による。制度は年度の途中でも変わることがあるため、申請の前に必ず最新の資料と管轄の労働局で確認してほしい。本記事は個別の案件について支給の可否を判断するものではない。