「Microsoft 365 Copilotを全社に展開し、利用率70%」「利用率8割以上を維持」。生成AIの定着を語る記事には、利用率の数字が必ず出てくる。だが、その利用率が何を分母にし、何をもって「利用」と数えたかを確認しないまま比べると、判断を誤る。ライセンスを配った人数、月に1回でも使った人数、業務の手順にAIが組み込まれた人数は、それぞれ別の数字だからである。
- 「利用率」は少なくとも3つに分かれる。配布率(ライセンスを配った割合)、実利用率(期間内に使った割合)、定着率(業務の手順に組み込まれた割合)である
- 同じキリングループのCopilot展開でも、Microsoftの公式事例は「利用率8割以上を維持」、支援企業のプレスリリースは「利用率70%」と書いており、どちらも定義を明記していない
- Microsoft 365 Copilot、ChatGPT Enterprise、Geminiの管理画面は、実利用率までは取れる。一方で、業務に組み込まれたか、品質、実測の削減時間は3製品とも取れない
- 数値が低い部門への打ち手(研修・業務設計の変更・ライセンス回収)は、3つの数字の組み合わせで決まる
本記事は、各製品の公式ドキュメント(2026年9月29日確認)と総務省の情報通信白書を一次資料として、利用率KPIを「定義」「計測元」「部門別の判断」の3点に絞って整理する。
この記事の対象読者
- 生成AIのライセンスを全社や一部部門に配布し、利用率の報告を求められているDX/AX推進担当者
- Copilot・ChatGPT・Geminiの管理画面の数字の読み方を確認したい情報システム部門
- 利用率の低い部門に、研修を追加するかライセンスを減らすかを判断しなければならない経営層・部門長
利用率は3つの数字に分かれる
「利用率」という1つの言葉の中に、少なくとも3つの数字が混ざっている。分子と分母を並べると違いがはっきりする。
| 指標 | 分子 | 分母 | わかること | 主な計測元 |
|---|---|---|---|---|
| 配布率 | ライセンスを付与した人数 | 対象とする従業員数 | 投資をどこまで広げたか | ライセンス管理画面、人事マスタ |
| 実利用率 | 期間内に1回以上使った人数 | ライセンスや席を付与した人数(製品で定義が異なる) | 配ったライセンスが使われているか | 各製品の利用状況レポート |
| 定着率 | AIを組み込んだ手順で働いている人数、またはAIを組み込んだ業務の数 | 対象部門の人数、または業務一覧の業務数 | 仕事のやり方が変わったか | 業務一覧、手順書、業務ログ、アンケート |
実利用率にあたる値の出し方は、製品によって違う。Microsoft 365 Copilotの利用状況レポートは、Copilotのライセンスを持つユーザーを分母にした割合(Active users rate)を画面に表示する。GoogleのGemini reportsも、Gemini機能を含むWorkspaceライセンスを持つユーザーに占めるアクティブユーザーの割合を表示する。一方、ChatGPT EnterpriseのヘルプにはUsersの項目として購入席数・有効化した席数・アクティブユーザー数が並ぶが、そこから割合を出して表示するとは書かれていない。ChatGPTで実利用率を報告するなら、アクティブユーザー数を有効化した席数で割る値を自社で計算し、分母を明記する必要がある。
どの製品でも「利用」は期間内に1回でもプロンプト送信などの操作をしたかで判定されるため、月に1回だけ試した人も、毎日使う人も同じ1人と数えられる。
同じ会社でも数字が2つある
キリングループのCopilot展開は、定着の好事例としてよく引かれる。Microsoftの公式事例(2026年5月12日公開)は、導入開始から約半年でグループのCopilotユーザーが6,000名を超え、利用率は8割以上を維持していると書いている。一方、同グループの定着を支援したディスカバリーズのプレスリリース(2026年7月7日)は、6,000を超えるユーザーへ展開し、利用率は70%に到達したと書いている。
どちらの資料も、利用率の分母・分子・集計期間を明記しておらず、数字の違いが時点によるのか定義によるのかは確定できない。
ライセンスの配り方も読み落とせない。Microsoftの事例は、主に国内のグループ会社や、AI活用に意欲のある従業員へライセンスを付与してきたと書いている。意欲のある人から配れば、ライセンス保有者を分母にした実利用率は高く出やすい。事例の価値を下げる話ではない。自社の全従業員を分母にした数字と横に並べて比べてはいけない、という話である。
同じ事例は、活用の中身を画像生成やスライド作成、メールの下書きといった身の回りの業務効率化と説明したうえで、AIエージェントによる業務プロセスの改善に取り組む部門が増えてきたと書いている。利用率の高さと業務の手順が変わることは、事例の中でも別の段階として語られている。
「使った」と「業務に組み込まれた」は違う
総務省の令和8年版情報通信白書(概要、2026年7月)は、この差を企業調査で示している。日本企業の管理職以上への調査(2026年1〜2月)で、自社の何らかの業務で生成AIを利用していると答えた割合は86.4%だった。ところが最も利用が進んだ「議事録・メール作成補助」でも、中身を分けると様子が変わる。
| 活用の段階 | 回答割合(日本・議事録・メール作成補助) |
|---|---|
| 従業員が個人作業の効率化で活用している | 35.2% |
| 部署内の特定業務で活用している | 24.7% |
| 業務プロセスがAI中心に変更されている | 11.3% |
個人が便利に使う段階と、業務の手順が変わった段階の間には3倍以上の開きがある。実利用率が高くても、表の1段目が多いだけかもしれない。定着率を別に測る理由はここにある。
他社や報道の利用率を読むときの確認項目
ベンダー資料や報道の利用率を自社の目標に使う前に、次の5点を確認する。1つでも書かれていなければ、比較には使わず参考値にとどめる。
- 分母は誰か:全従業員か、ライセンス保有者か、希望者か
- 期間はどれか:直近7日か、28日か、月次か、90日か
- 何を「利用」と数えたか:プロンプト送信か、画面を開いただけか、機能の提案を受け入れたことも含むか
- どのアプリを含むか:チャットだけか、WordやExcelなどに組み込まれた機能も含むか
- どの時点の数字か:展開直後のピークか、数か月後の維持された値か
管理画面で取れる値と取れない値
主要3製品の管理画面で取れる値を、公式ドキュメントに書かれている範囲で整理する。いずれも2026年9月29日の確認で、画面や定義は更新されうる。
Microsoft 365 Copilot
Microsoft 365管理センターの「Microsoft Copilot利用状況レポート」は、7日・28日・90日・180日の期間で表示できる。
- Enabled Users:期間内にCopilotのライセンスを持っていたユーザー数
- Active Users:そのうち、1つ以上のアプリでユーザー自身が起動するCopilot機能を試したユーザー数
- Active users rate:Active UsersをEnabled Usersで割った値。つまり分母はライセンス保有者である
- プロンプト送信数、アプリ別の利用者数、ユーザー別のプロンプト送信日数(Active Days)とアプリ別の最終利用日
アクティブの判定は「意図的な操作」で、Copilotのチャット画面を開いただけでは数えず、プロンプトを送ると数える。データは通常48時間以内に反映され、ユーザー名は既定で非表示である。監査ログから自前で集計した値はこのレポートと一致しない可能性があると公式は明記している。
Viva InsightsのCopilot Dashboardは、準備状況・導入・影響・センチメントを直近28日で示す。影響ページの「Copilot assisted hours」は、操作回数にMicrosoftの研究から導いた係数を掛けた推計で、たとえば文書やメールの作成操作は1回6分と数える。公式自身が大まかな推計で計算方法は今後変わると書いており、実測の削減時間として報告するのは避けたい。
ChatGPT Enterprise
ChatGPT EnterpriseとEduのWorkspace analyticsは、管理者・オーナーと分析閲覧ロールの人が見られる。
- Overview:ユニークなアクティブユーザー数、メッセージ数、GPT・ツール・プロジェクトの利用推移。SCIMで同期したグループ別に分けられる
- Users:購入席数、有効化した席数、アクティブユーザー数、ユーザー別の利用量。パワーユーザーは、メッセージ送信数の上位20%で、週75通以上、月3種類以上のツールを使う人と定義されている
- Benchmarks:有効化率や週次アクティブユーザーあたりのメッセージ数などを業界の中央値と比べる。ヘルプに各指標の計算式は書かれていない
- Impact:任意のアンケートによる自己申告の集計。公式は、方向性を見るためのもので、因果的なROIの測定ではないと明記している
- Task insights:会話を業務の種類に分類した集計。個々のプロンプトやユーザー単位の活動は見せない
CSVの is_active は「期間内に1通以上メッセージを送ったか」を示す。部署の列(department)は利用者が自分で入力した値なので、部門別の集計にはSCIMグループを使うほうが確実である。データは通常6〜12時間で更新され、最大48時間が目標とされている。ChatGPT Businessにも分析閲覧ロールはあるが、項目を詳しく説明した公式ヘルプはEnterpriseとEdu向けなので、Businessで同じ値が取れるかは管理画面で確認してほしい。
Google WorkspaceのGemini
Google管理コンソールの「Gemini reports」は、組織単位の集計とユーザー単位の集計に分かれる。
- 組織単位:Geminiを使ったアクティブユーザー数と、それがGemini機能を含むWorkspaceライセンスの保有者全体に占める割合。期間は7日・28日・90日。アプリ別・機能別の利用回数、Geminiアプリとのチャットメッセージ数も見られる
- ユーザー単位:直近28日の利用日数と、利用レベル。Highは利用が1回以上あるユーザーの上位10%かつ20回以上、Mediumは5回以上、Lowは4回以下、Zeroは利用なし
- 利用の判定:Geminiアプリへのプロンプト送信、メールや文書の要約、文章の生成や書き直し、Geminiの提案の受け入れなど
機能別の数字は利用回数で、対象の文書数ではないと公式は注記している。組織構造の変更は反映まで最大72時間かかり、変更前の履歴は含まれないため、部署の統廃合があった月は部門別の推移が途切れる前提で見る。
3製品とも取れない値
管理画面が答えられるのは「誰が、いつ、どのくらい使ったか」までである。
| 取れない値 | 理由 | 補う方法 |
|---|---|---|
| 業務の手順に組み込まれたか(定着率) | 製品はどの業務に使ったかを知らない | 業務一覧に「AIを組み込んだ手順があるか」の列を足し、手順書の改訂を確認する |
| 実測の削減時間 | Copilotは研究に基づく推計、ChatGPTは自己申告 | 対象業務の処理時間を、導入前後の同じ単位(1件あたり、月あたり)で業務ログから取る |
| 成果物の品質 | 生成物の良し悪しは記録されない | 差し戻し率、レビューでの指摘数、顧客からの問い合わせ件数を業務側で取る |
| ライセンス外での利用 | 管理外のAIサービスは見えない | 匿名アンケートで利用ツールを聞き、ガバナンスの方針と照らす |
業務一覧の作り方はAIアセスメントとは?業務棚卸しと投資対効果の設計で、管理外のAI利用が引き起こすリスクはAIガバナンスと実装セキュリティで扱っている。
アンケートは「この1か月、AIを業務の決まった手順の中で使ったか」「使っていない理由(使い方がわからない、使う業務がない、など)」の2問で足りる。
部門別の改善判断:研修・業務設計・回収
部門ごとに3つの数字をそろえると、低い部門への打ち手が決まる。同じ「利用率が低い」でも原因が違えば打ち手は正反対で、研修が必要な部門からライセンスを回収すれば芽を摘み、使う業務がない部門に研修を足せば予算を捨てることになる。
| 数値の組み合わせ | 確認方法 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 実利用率が低く、アンケートで「使い方がわからない」が多い | 理由の設問、利用レベルがZeroやLowの人の割合 | 研修を足す(基礎、職種別の使い方) |
| 実利用率が低く、業務一覧にAIを使う業務がほとんどない | 業務一覧の「AIを使える業務」列 | ライセンスを回収し、需要のある部門へ再配分する |
| 実利用率は高いが、定着率が低い | 利用日数が月に数日、手順書が改訂されていない | 業務設計を変える(手順に組み込み、共有テンプレートやGPTを用意する) |
| 実利用率も定着率も高い | 利用上限への到達、パワーユーザーの数 | 手順を他部門へ横展開し、上位ライセンスを検討する |
| 配布率が低く、ライセンスの要望が多い | 要望の件数と部門 | 追加配布の候補にする |
研修を足すべき部門
研修が効くのは、「使う業務はあるのに、使い方がわからない」部門である。利用レベルがZeroやLowの人が多く、アンケートの理由も使い方に集中している場合がこれに当たる。業務がないのに研修を足しても、直後に実利用率が一時的に上がって、また下がるだけになりやすい。どの形式の研修を選ぶかは法人向けAI研修の選び方で比較している。
研修の効果は、実利用率だけで判断しない。FDXが研修を担当したNECソリューションイノベータ様の取材記事では、研修後に案件数自体が劇的に増えたわけではない一方、顧客との会話の質が変わり、以前は見送っていた生成AI案件の相談に応じられるようになったと語られている。利用回数には表れない変化である。同じ取材では、AIが提案する操作を中身を確かめずに「許可、許可」と承認し続ける人の問題も挙がっている。利用回数が多いことは、理解していることの証明にならない。
業務設計を変えるべき部門
実利用率は高いのに定着率が低い部門は、白書の表の1段目、個人が便利に使う段階で止まっている。必要なのは研修ではなく、業務の手順のどこでAIを使うかを決め、手順書と共有テンプレートに落とすことである。フローそのものを作り直す手順はAI前提の業務プロセス再設計で扱っている。
測る数字も変える。FDX Trainingで半年間伴走した中堅クリエイティブ企業の事例では、非エンジニアの6部署すべてがAX目標を達成し、うち5部署がS評価以上だった。成果は利用率ではなく、各部署が自分の業務で測っている。人事の定常業務で月720分の削減、クリエイティブの入稿で月76時間の削減、Instagram投稿の制作時間が1件5時間10分から2時間9分へ、といった具合である。定着を示すのは、このように業務の単位で導入前後を比べた数字である。
ライセンスを回収する前に確認すること
回収は最後の手段だ。実行する前に、次の3点を確認する。
- 期間:28日だけで判断していないか。月末や四半期末に集中する業務は、90日で見ると使われていることがある
- 休職・異動:Copilotのユーザー別の表は、過去180日のどこかでライセンスを持っていた人を、ライセンスを外した後や一度も使っていない場合も含めて表示する。人事の異動情報と突き合わせる
- 代替ツール:公式ライセンスを使わずに、管理外のAIサービスで同じ作業をしていないか。回収がかえって管理外の利用を増やすことがある
回収は罰ではなく、需要のある部門への再配分として伝える。
月次で見る数字を1枚に固定する
指標の定義が月ごと、報告者ごとに揺れると推移を比べられない。次のような定義書を1枚作り、社内報告はこれに従う。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 分子 | 直近28日に1回以上、意図的な操作でCopilotを使った人数 |
| 分母 | 同期間にCopilotライセンスを持っていた人数 |
| 計測元 | Microsoft 365管理センターのMicrosoft Copilot利用状況レポート |
| 集計日 | 毎月第3営業日(反映の遅れを避ける) |
| 個人データの扱い | 部門単位でのみ報告し、人事評価には使わない |
集計日をずらすのは、反映の遅れをCopilotは通常48時間以内、ChatGPTは最大48時間が目標、Geminiは2〜3日と公式に書いているためである。個人の数字を人事評価に使うと、評価のためだけのプロンプトが増えて実利用率が意味を失う。Copilot Dashboardも個人のプライバシー保護のため、最小人数に満たないグループの数値を表示しない。指標の定義を1か所で持つ考え方は、セマンティックレイヤーとはの指標定義の一元化と同じである。
FDXの支援
FDXはAX(AI Transformation)の実装パートナーとして、研修から現場定着、内製化までを支援している。
FDX Trainingは、AX診断、プログラム設計、実施、現場定着、内製化の5つのフェーズで進める。現場定着のフェーズでは、利用率のモニタリング、AI-OJT、アンバサダーの任命を行い、プログラム設計の段階でKPIを合意する。本記事の3つの数字でいえば、実利用率を管理画面で追いながら、定着率を業務一覧と手順書の側で積み上げていく進め方である。
実績として、非エンジニアの6部署が半年の伴走で全部署AX達成に至った事例を導入事例で紹介している。自社の部門がどの段階にいるかをまず把握したい場合はAX診断から、研修と業務設計のどちらから始めるべきかを相談したい場合はお問い合わせからどうぞ。
よくある質問(FAQ)
Q1. 生成AIの利用率は何%を目標にすればよいか?
A. 他社の数字をそのまま目標にするのは避けたほうがよい。公表されている利用率の多くは分母がライセンス保有者で、配り方や集計期間も明記されていないことが多い。まず自社の実利用率と定着率を同じ定義で3か月測り、部門ごとの推移から目標を置くほうが、達成の可否を説明しやすい。
Q2. 管理画面のアクティブ率が高ければ、生成AIは定着したといえるか?
A. いえない。アクティブユーザーの割合(管理画面に表示される割合、または表示された人数から自社で計算した割合)は、期間内に1回以上使った人の割合で、月に1回だけ使った人も毎日使う人も同じ1人と数える。業務の手順にAIが組み込まれたかは製品側では分からないため、業務一覧と手順書の改訂状況、業務ログの処理時間で別に測る必要がある。
Q3. Copilot Dashboardの支援時間は、削減時間として報告してよいか?
A. 実測の削減時間としては報告しないほうがよい。Microsoftの公式ドキュメントは、この値を操作回数に研究由来の係数を掛けた大まかな推計と説明している。報告では推計値と明記し、主要な業務は業務ログで導入前後を実測した数字を併記する。
Q4. 利用率を測るより、成果だけを見ればよいのではないか?
A. 成果を最終的な判断基準にすることには賛成である。ただ、成果の数字は出るまでに時間がかかる。実利用率と定着率は、成果が出る前に、どの部門で何が止まっているかを知る途中の計器である。成果だけでは、低い部門に研修を足すべきか業務設計を変えるべきかが分からない。
Q5. 利用率が低い部門のライセンスはすぐ回収すべきか?
A. すぐには回収しない。まず集計期間が短すぎないか、休職や異動の人が含まれていないか、管理外のAIサービスで同じ作業をしていないかを確認する。そのうえで、業務一覧にAIを使う業務がほとんどない部門であれば、回収して需要のある部門へ再配分するのが妥当である。
次に読むべき記事
- 法人向けAI研修の選び方|失敗しない比較基準と定着設計:研修の形式の比較と選定基準
- AIアセスメントとは?業務棚卸しと投資対効果の設計:定着率の分母になる業務一覧の作り方
- NECソリューションイノベータ様 生成AI実践型研修の全貌:利用回数に表れない研修後の変化
- AIガバナンスと実装セキュリティ|6つの制御点:管理外のAI利用への備え
- SaaS連携×AI実装|定着しないSaaSを成果に変える統合設計:使われないライセンスを業務につなぐ設計
まとめ
- 「利用率」は、配布率・実利用率・定着率の3つに分けて測る。管理画面で取れるのは実利用率までで、CopilotとGeminiは割合を表示し、ChatGPTはアクティブユーザー数と有効化した席数から自社で計算する
- 他社や報道の利用率は、分母・期間・利用の判定・対象アプリ・時点が書かれていなければ比較に使わない。キリングループの事例でも、公式事例と支援企業の資料で数字が異なり、定義は明記されていない
- 総務省の白書では、議事録・メール作成補助の利用が進んでいても、「業務プロセスがAI中心に変更されている」との回答は11.3%にとどまる。個人の便利使いと業務への定着は別物である
- 3製品の管理画面は、誰がいつどのくらい使ったかまでは取れる。業務への組み込み、品質、実測の削減時間は業務一覧・業務ログ・アンケートで補う
- 低い部門には、使い方がわからないなら研修、手順が変わっていないなら業務設計、使う業務がないならライセンスの回収・再配分を当てる
- 指標の定義書を1枚作り、期間・集計日・部門の単位・個人データの扱いを固定する
出典・参考文献
- Microsoft Learn「Microsoft Copilot usage report」(Enabled Users・Active Users・Active users rateの定義、期間、ユーザー別の表、意図的な操作によるアクティブ判定、48時間以内の反映、監査ログとの違い、180日のユーザー表示範囲。2026年9月29日確認)
- Microsoft Learn「Connect to the Microsoft Copilot Dashboard for Microsoft 365 customers」(準備状況・導入・影響・センチメントの分類、28日と最大6日の遅れ、ライセンス数による機能の違い、Copilot assisted hoursの算出方法と推計である旨の注記。2026年9月29日確認)
- OpenAI Help Center「Workspace analytics for ChatGPT Enterprise and Edu」(Overview・Benchmarks・Impact・Task insights・Usersの各項目、パワーユーザーの定義、CSVの列定義、データの更新間隔。2026年9月29日確認)
- OpenAI Help Center「Managing members, seat types, and roles in ChatGPT Business」(Businessの分析閲覧ロール。2026年9月29日確認)
- Google Workspace管理者ヘルプ「Review Gemini usage in your organization」(組織単位・ユーザー単位の集計項目、利用レベルの定義、利用の判定、組織変更の反映、2〜3日の遅れ。2026年9月24日更新版を2026年9月29日確認)
- Microsoft「AI を組み込んだ業務プロセス変革を目指すキリングループ。ボトムアップの Microsoft 365 Copilot 導入施策を進め、Agentic AI も視野に」(Microsoft Customer Stories。ユーザー数6,000名超、利用率8割以上、ライセンスの付与対象。2026年9月29日確認)
- ディスカバリーズ株式会社「キリンビジネスシステムの Copilot 活用定着をディスカバリーズが伴走支援 ——キリングループにおける Copilot 展開を推進」(2026年7月7日、PR TIMES。6,000を超えるユーザーへの展開と利用率70%。2026年9月29日確認)
- 総務省「令和8年版情報通信白書(概要)」(2026年7月。企業向けアンケートの調査方法、生成AIを1つ以上の業務で利用している企業の割合86.4%、業務類型ごとの活用段階。2026年9月29日確認)
- FDX株式会社「導入事例」(非エンジニア6部署のAX達成事例)
※ 英語資料からの引用・要約は編集部による翻訳である。部門別の判断表と定義書の記入例は、公開情報を踏まえた編集部の設計例であり、各製品の公式な推奨ではない。